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詩誌 空想
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クランベリーの甘い罠 三浦穂香



箱詰め出荷された事の無い
自由奔放な果実です
おとうさんの腕にぶらさがったまま
さらわれるのを待ってました


親指と人差し指で
容易く潰せる甘い夢で出来てます
なんて狭い世界でしょうかと
途方もないプレッシャーに挟まれながら
それでもアイドル気取る未成熟なクランベリーです

指の刺激から解放されて
キスでもされるかのように
誰かの舌の上で転がり回る
柔らかな感触に浸っているのは私か貴方か
歯を立てなくたって
簡単に潰されるクランベリーだから
貴方はコロりと騙されてくれる
味覚から征服していく赤い策略

ほらもう一粒
ほらもう一粒
喉が胃が腸が私色に染まるまで
もう手は止まらない

おとうさん
おとうさん
さようなら
いってきます
娘達は旅に出ます
この人なら大丈夫
いい苗になるよ
そっと内側から芽を生やして
囁きます
クランベリーの甘い罠

はさみ たもつ


 
 
はさみ
兵藤ゆきより
大きなはさみを
買う
ポケットには入らないので
背負って
帰る
兵藤ゆきですら
背負ったことないのに
道が市街地に向かって
少し車で混んでる
子供の頃
兵藤ゆきを背負いたい
と言うと両親は
あの人はきっと有名な人だから
そう言って
柔らかい体のまま
テーブルを拭いたり
何か持ったりしていた
代わりに両親を
背負ってあげれば良かった
でも腐った匂いがして
淋しい感じしかしなかった
はさみ
のひんやりとした感覚が
背中に温められて
体温と同じ温度で
兵藤ゆきも同じくらいだろうか
少し懐かしい
腐ったような匂いに
足をとられそうになる
もしかしたらその匂いは
両親のものでも
はさみのものでもなく
自分のものかもしれない
そう思うと
生きた心地がしていない
おそらくあの日から
ずっとだ
 
 

心臓 ふるる


是非にと所望された電柱
お前の未来は明るい
お前の姉さんはおととい
嫁いだばかりで戻ってきた
カラスの巣はハンガー
ハンガーとハンガーとハンガーで
流動的なヒナたちが
どこで育っているのか
見えない

美しい夜明け
美しい水鏡
美しい髪
姉さんはすでに身ごもり
ハンガーで巣を
作り始めた
いばら姫のような指
脚は折りたたんで
今ねぐるっと何かが動いたわ
モールスではなく回転
何か言うのかしら回転で

所望された電柱は
佇み街灯の下耳をすます
何か言うのか何か
流動的なお前よ
その出自を語るか否
語りえないので回転する
それは危うい遊戯
逆さになったお前は
何を言う何を
語りえないので暴れる

美しいものは見えるものハンガーの巣で
育まれる心臓の場所は
ここだ
それが確かに分かる時
誰の身体にもすでにある
こびりつき離れない心臓の
モデラートの速度が
少し速まる

げんきでね またいつかね 愛野裕佳里


素直になれないんだ 何時も 強がりばかりで
きずけば回りには誰も 居なくなって いたよ
甘えればいいのに でもね 甘え方知らない
自然で居られたら ああどんなに よかったかな
げんきでね またいつかね 思いでの中で会える
げんきでね またいつかね 夢の中では 笑う私で居たいな

不器用なんだ 何時も 弱音吐けない
きずけば私に誰も 声かけなくなって いたよ
泣いたらいいのに でもね 涙みせれない
私のままで居られたら あどんなに よかったかな
げんきでね またいつかね 思いでの中で会える
げんきでね またいつかね 夢の中では 笑う私で居たいな・

はるか ことこ


うすむらさきの雲の向こうで
夕陽が沈む
水羊羹の表面を
スプーンですくうように
なめらかな冷たさを泳ぐ

身を寄せて口をつぐんだ
紫陽花の花びらが
ひとつ、またひとつ
色褪せては
空へかえる

信号機がぱっぽう、と
くりかえし諳んじて
歩道橋は
ひとの重みにたわむ
みんなきちんと
弁えている
(お前はえらいね、)
   (と、そこにはいない野良猫に呟く)

かつて
湖のほとりで生まれたものがあった
腕のうちがわの
いつだってしろい部分が
覚えている
ねむらない夜は
寝返りをうつたびに
短くなる

手のひらと手のひらを重ねれば
汗がにじむ
どこもかしこも、熱い

こぼしたミルクの広がる
歯応えはたしかにあった
反発しあうコロイドの
震動を
からだの中に残したまま
平行線をたどる
どうしようもなく
おたまじゃくしが溢れては泳いでゆく
鼻歌
そうして続けてきたことを
手早くえくぼに埋めて
前庭にちかい場所で
まわり続けている

海の伝言 たもつ


 
 
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


+


栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


+


夕日のあたたかいところに
古いネジが落ちています
いつか機械からはぐれて


+


六月の日よけに懐かしい
あなたの手が触れていました
ひとつのことのように


+


草行きのバスに乗ります
生きている魚にも
瞼をつけてあげたかった 


+


掌に残る水温の痕
大きな船で発ちます
音にもなれずに


+


ゆっくりと通過していくのは
海の内緒話でしょうか
柔らかな雲のお墓へと



幻夏 透夜


もうずいぶん
雨ばかりであった明くる日の
気の違ったような夕映えが
背後から放り投げるわたしの影に
細く長く染められた
蔓延る緑のくらがりから
とく とく とく と
浮かびあがるしろつめくさ
白い
遠い夏のかなしい恋
とく とく とく ひゅい い

誰何 古月


 午睡を妨げるのは何時も郵便配達夫の鳴らす警鈴で、飴色の部屋は蒸していた。
 父からの便りは大抵が短く、味も素っ気もない。盆には帰る、と、只だ其れだけを何時もの調子で今年も寄越した。
 窓の隙間から金魚売りの鳴らす風鈴がちりゝと忍び込み、赤白の鰭を翻す。天袋で猫が鳴く。一つ屋根の下に暮らし始めて大分に為るが、生憎と未だ顔を見たことが無い。父を迎えるのに何もないでは寂しかろう。水菓子でも買うかと思い立ち、散歩序でに家を出た。日捲りに拠れば今日は友引らしい。其れなら丁度、幽霊坂が近かろう。
 日暮れには太陽光線は一際明るく感ぜられるもので、普段なら目を遣らぬような処がやけに気懸りだ。空は水彩の如く滲み遠景は油彩の如くに厚い。家並みは素描である。其処彼処の影は墨を流したように濃く、入日に曳かれ傾いで見える。風に竹薮が障々と鳴り、土塀の連なりは途切れている。不自然な切れ目に急勾配の小路を認めれば、其処が幽霊坂であると知れた。
 坂には見知った按摩の影が有った。人と往き逢うとは珍しい。声を掛けてみると、大層驚かれた。ヤゝ、此れは申し訳有りません。白日夢を見ていたようで。否々、其れより如何しました。顔色が余り宜しく無いようで。ハア、盆には、色々と善からぬ来客も有りますでしょう。エゝ、エゝ。人の家の線香の煙を、勝手に嗅ぎに来るような……。先ずは関わらぬことで御座います。努々御注意なさいますよう……。按摩は何故か此処で訳有りの風で声を潜め、二言三言交わした後、上りと下りに別れた。
 夕暮刻の影帽子は長く伸び、何とは無しに振り返ると、私の影の頭の辺りを未だ按摩が掴んでいる。彼れは本当に見知った按摩なのだろうか。そもそも按摩は……深く考え始めると何かしら善からぬことが起こる気がする。坂を行きつ戻りつする背中を眺めている内に、何やら今にも按摩が踵を返す気がして、私は坂を下る足を速めた。
 坂を下り切ると、程無く金物屋の角に出る。大小の鍋が吊るされた軒は、其れ自体が使い込まれた鍋のような色をして、夕日の所為か暮色の彼れ是れが、生活の疲労を滲ませて見えた。
 父について覚えていることが有る。幼少の頃、家には猫が居たのだが、或る日其の猫が台所で鍋釜を引っ繰り返し、小さな釜を頭に被って、踊りを踊ったことが有る。私と母は其の様を見て、マア可愛らしい、見て御覧なさい、まるで盆踊りねえ、と喜んだが、父は一人何やら蒼白の形相で、慌てて其の釜を取り上げると、早ッ々と処分に出して仕舞った。其れ以来猫にもきつく当たるようになり、油断無い目つきで朝夕猫を見張り、度々訳も無く怒鳴りつけた。彼れは何だったのか、今以って謎である。其んなことをぼんやりと考えている内に商店街も半ばを過ぎ、程無く青果店に着いた。
 アラいらっしゃい。女将が気安く声を上げた。足が長らく遠のいている私は余り良い客とは言えないのだが、斯うして親しげに声を掛けられると嬉しく、町内の付き合いは真に財産である。軒先の赤やら緑やら黄色やらの色取り取りを眺めていると、夕方にも拘らず瑞々しい。漂う空気も甘く香り、財布の紐も緩むと言うものである。女将が人の心を読み、うちの品物は新鮮だから、と笑った。
 で、何にします。エゝ、然うですね、西瓜を……西瓜をひとつ。大玉の成るたけ甘いやつを。来客でも有りますか。来客、まあ、エゝト。父が、帰ってくるんですよ。アラ、お父上が。マア……其れは其れは……。
 誰何と申しまして、失礼。女給は私の手を取ると、手のひらにさらさらと指を走らせた。だれ、なに……、ハゝア、成る程、それで盆には西瓜ですか。盆には、色々と善からぬ来客も有りますでしょう……人の家の線香の煙を、勝手に嗅ぎに来るような……努々御注意なさいますよう……。
 女将は童女のようにフゝと笑うと、それでは御包み仕升ねと新聞紙を広げ、瞬く間に緑色の大玉を白黒に覆い、続いてビニヰル紐を取り出すと、するすると其れを巻きつけては掛け、巻きつけては掛けし、最後に天辺で確と括って此方に差し出した。何とも器用なものだ。
 帰りには金物屋の裏手は薮だった。竹の囲いの内は背の高い夏草で覆われ、湿っぽい闇が蟠っている。駅裏の停車場を過ぎて門前町を左に折れると、土塀の続く均らかな上りになる。枯れた水路を鼠が駆け、猫が続く。通りには行き交う人影も無く、蝉時雨もやけに遠い。遠くで烏が物憂げに啼いて、枇杷が腐るような宵が来る。
 家の前には街灯に照らされ、見覚えの有る影が立っていた。父だろうかと思い、呼ぼうとして、留まる。声を知らぬかもしれない。戸締りをした所で構わず天袋に寝床を作る猫を見れば、人とは何とも不自由だが、然りとて今更名を名乗り合う間柄でも無し、黙って敷居を跨げば良かろう。流しには良く研いだ包丁と卓上塩とは真に出来すぎで、二つに割ってみれば、何とも見事な出来栄えである。交わす言葉の一つも無い、他人行儀な夏も暮れる。

悪魔と胃腸薬 ふるる


何でも望みをかなえまショウただし三つだけ
それがすんだら魂を下さいネ

真夜中
合わせ鏡の一番奥より
悪魔がふりゅりゅりゅりゅとやって来て
目の前にきちんっと正座し
私が淹れたほうじ茶をすすって
言った
それからシツレイ、と言って
薬を飲んだ

それは何?
胃腸薬ですヨ 
はい、質問に答えてあげましたから一番目の望み終了でスー
何それサギじゃん
そう、ワタクシ人間から学びをいたしましたヨ
サギ、という賢明かつ哀愁を帯びた犯罪といふものヲ
悪魔は得意そうだった

くそう、どうして悪魔が胃腸薬なんか飲むのか
知りたいけど、聞けない
それじゃあ、二番目の望みはねえ
あんたの持ってる能力と持ち物を全部ちょうだい

ヒドイーーーー
と悪魔は叫んだけど、みるみるうちに縮んでいって
豆粒のようになった
私はもちろん、悪魔なみの無敵の能力と持ち物と
ゾクゾクするような記憶すらも手に入れた

記憶を失った悪魔はものすごくアホな顔になり
びらーんとした顔でポケットをさぐり
飲み残したケシ粒のような胃腸薬さえも
私に渡すのだ

かわいそうに人間がこれじゃあ胃も痛くなるわ
これは返すよ
胃腸薬を返してやったが
私はすでに悪魔と化しているので
それを七味トウガラシに変えておくのを
怠ることはなかった

白い鳥 水瀬史樹


薄紅色した傷口を隠すように
羽を休める
あれは水鳥です

夏は袖口を泳ぎ
冬は胸の内側で暖をとり
か細い声で鳴いています

波紋に揺れる白い羽は
水を弾いて
沈むことなく流れ
辿り着く頃には色も着き
もはや枯葉の様相のまま
なお優雅に浮かんで

音も無く
けれど胸を締め付けるように響く声
肌に隠れ
震える身体を落ち着かせようと
身を縮めて隠れていても

わかります
白い鳥
お休みなさい
私でよければどうぞ
お休み下さい
白い鳥

深夜放送 たもつ


 
 
花が咲いている
花の中に海が広がっている
散歩途中の
人と犬とが溺れている
救助艇がかけつける
降り注ぐ夏の陽射し
最後の打者の打った白球が
外野を転々とする
ボールを追って
僕が花を踏み潰す
守れなかった
花も人も犬も救助艇も
なけなしの一点すらも
観客席が眠ったように忙しい
本日の営業時間は終了しました
またのご来店をお待ちしています
審判が音を立てないように
シャッターを降ろす
僕は汚れたことのない手で
テレビのスイッチを切る
  
 

水浅葱 ノいキ






私と云うものは
貴方にとって
ちっぽけな 撫子のような
モノでしょう

ひっそりと
花弁、開きし この身から

微弱を纏った芳香は
僅かな時の砂しか
過ぎ去れず

あの娘のように
芳しくは 咲き誇れぬのです

小さなこの身は
冷めぬ風に、揺すられながら
貴方を見つめる事しか
出来ませぬ


嗚呼

なのに
なのに

何故に 貴方は
そっ・・・
と、こちらを振り返るのでしょう

私と云うものは
ちっぽけな
撫子のようなものですのに

何故に
透き通る 湖水の瞳で
私を見つめ

微笑で彩めた爪先で
そっ・・・
と、歯痒く
触れるのでしょう


嗚呼

私は
貴方を見つめる事しか
・・・出来ませぬのに








.

たくさんどほり まりっこ


敗れたノートの
切れ端に
集められた人々は
監禁されて悶えてる
黄色くなって苦しそう

硝子の破片に立たされる
節目の時が間近に

もう随分と時が過ぎたようで
指でそっとなぞれば
塊が
あちら
こちら
動き回ります

溺れても
痛くても
泣きやしません
苦い塩水を味わうだけですもの


解放しましょう
何もかも

召し上がりなさい


喉から吐き出す想いを



自身を

アンダー・ストーン 翠蓮ツバサ


雨のオトがします
夜に堕ちていきます
しがらみから追放された


アンダー・ストーン
夢にまでみた真実は
ニヒルに歪む手帳
忘却はアイロニー

白い泡の映える黒い食器を彩る青い蜘蛛は赤い糸に傑作
赤い雨の映える青い空を飾った黒い稲妻は白い糸に流れ

鼓膜が、震動に怯えます

アンダー・ストーン
文字盤に刻まれた
数字の羅列に這う
ゆれる
ゆれた
落ちた

堕ち
た?

鼓動が、震動に嗤います

LOST GIARL〜涙の中に君が居た〜 愛野裕佳里


時の流れは止められない 一度歯車 回れば
後一日この体で居れたら どんなに よかったかな
ゴメンネ私の記憶は 多分君から 消える
だけどね忘れないよ だから最後は君の笑顔が見たい
消えて行く体は崩れて 痛みで 涙が出るんだ
だけどね君の笑顔だけが 温かくて 少し安らぐ
崩れてく心が砕ける 苦しみで 涙止まらない
だけどね涙の中に 笑顔の君が 居たんだ

掛け違えたボタンは戻せない 一度狂い 始めたら
後一夜この体で居れたら 誤解を 解けたかな
ゴメンネ私の全てが 多分君から 消える
だけどね忘れないよ だから最後は君の笑顔が見たい
消えて行く体は崩れて 痛みで 涙が出るんだ
だけどね君の笑顔だけが 温かくて 少し安らぐ
崩れてく心が砕ける 苦しみで 涙止まらない
だけどね涙の中に 笑顔の君が 居たんだ・

白薔薇晶 透夜


白き花片は散れる
石造りの壁の鉄の格子に
横たはる白き薔薇のもと

陰影をなくした地の上に
ひとつ ひとつ 
音もなく
た た た、
溢れる花片

わたしの純潔

揺らぎもない静寂の
石造りの壁の鉄の格子に
横たはる薔薇
足元に散らばる花片の
白き ただ 白き

HAPPY BIRTHDAY 翠蓮ツバサ


HAPPY BIRTHDAY、私
今年また、一つだけ年をとりました

365×何年か前の今日
私の声は空を裂いた
その空は、雲に覆われた

澱んで
揺らめき
滲んで
濡れた
線路脇の道路 自転車を転がして

しっとりと
霧雨が
重くなる
身体
排水溝へ流れる 同化した雫

無意味なメールは、貴方の代わり
本当に一番欲しいのは、馴れ合いじゃなくて
本当に一番欲しいのは、プレゼントでもなくて
貴方からの、祝福

HAPPY BIRTHDAY、私
貴方が隣にいないまま
今年また、一つだけ年をとりました

世迷言 古月


わたくしは、
何方にも均しく在るものですから、然う、聞きたくも無い言葉の数々が、
同じ人間が、同じ人間の下で、優劣を語る愚かしさ、浅墓さ、
何処の何方の御蔭様で今日まで大きく成れたのか、
今一度考え直してみれば宜しいのに、父を母を軽蔑し、
他所様ばかりを崇拝して、もう他所の子に成れば善いのに、
見目麗しき彼の人が遣ること成すこと素晴らしくて、
思うに無知こそは人間精神の幸福な在り様の重大要素です。
彼の輝ける人の、思いも寄らぬ日常生活の、平々凡々たる凡人の様の、
堕落、怠惰、不摂生、下劣、其の他様々の愛すべき側面が、
他人も自分も鏡写しと白日の下に曝される時、
僕の私の春は終り、詰り大人に成るのです。
他人を羨み、自分を蔑み、其れで何が如何成るものか、
朧気に知れるからこそ怖い、怖い、と目を塞ぎ、
何時か私にも華やかな日々が、暗い部屋の中、独白が止まらず、
思うに、機会は均等などでは無く、生まれの不幸の大小が世の全てで、
人は嘆き、悲しみ、恨み、妬み、嫉み、其の他色々の負感情を発条に、
生きていくしか術は無いのでしょう。
語られぬ背景に目を遣れば、暗い路地裏、汚れた舌、乾かぬ涙の跡、
人は少しの弾みで、生き地獄の如き憂き世を儚み、雨垂れの速さで土に染み、
草木も生やさぬ泥凝土の溜りに変じ、意味を失くして成れの果て、
如何したって他人は他人、自分は自分、駄目なものは如何したって駄目。
死んで何に成るのか。
死んで何に成るのか。
死んで何に成るのか。
夢の有るお話真に結構。
形は違えど何時何時迄も、斯うして、
お首の上におります。

さよならマイフレンズ 愛野裕佳里


少しずつ微妙な掛け違いが 大きくなるの 本当は感じてた
ずっと歩き続ける事なんて 無理な事 知ってたよ
長い時間が離れていく 気持ちを受け入れらずいた
でもね今だから言うけど 寂しくて 家まで泣いたんだ
さよならマイフレンズ幸せにネ 最後に届けた 思いの全て
さよならマイフレンズもう行くね 今までありがとう 忘れないよ何処に居ても

二人で過ごした学校 一緒に歩いた あの道
ずっと歩いてきたんだ 長い道のり 二人で
長い時間が終わるね 気持ち決めたはずじゃない
でもね今だから言うけど 寂しくて 又此処に来たんだ
さよならマイフレンズ元気でね 最後に届けた 溢れる思い
さよならマイフレンズもう行くね 今までありがとう 忘れないよ何処にいても
さよならマイフレンズ幸せにネ 最後に伝えた 本当は嫌だよ
さよならマイフレンズもう行くね 今までありがとう アナタガ最初で最後のマイベストフレンズ・・・ 

光 ナツキ


白い影が降ってくる
右目の端でチラチラしている蝶の様にも
日々の男の笑わぬ目の口元の皺が歪んでいる
雨で冷えてグシャグシャと透き通る
部屋に含まれる薄ら寒い煙草のにおいや
固い遠慮の鉄錆のギザギザした
立ちっぱなしで潜むカリトテフスアスターの女や
何より沈んでいる
光の海の水銀灯の影から
おびやかす声で降りてくる
日常倦怠のインクが縁取る
数え尽くせない白い窓の、窒息。

灰色の傘の下でも
呟かれる声が連なり影に 溶けて 溶けて
無限の敷石に問いを穿って、地の底へと脈打っている。

青い鳥 水瀬史樹


偽りの大海鳥から
白い羽は舞い上がる
青い大地には
鳥達が群がる

翼はどこへ
膨れて
千切れて
霞んで
憂鬱ばかり蓄えて
大地は白く汚れてていく

鬱窟した苛立ちが
行き場を無くして降り注ぐ
僕らは傘をさして
それから容易く目を反らす
視線を合わせたら災難だ
途端
ねらつく羽毛が全身にまとわりつく
苛立ちが伝染し
哭きたくなる
蔑みでずぶ濡れていく事を良しとしている
青い鳥達は幸福か?

ひとしきり鳴いたら
海へ還ろう?
な?

また大地には青さばかりが広がっている
偽りの大海鳥は
羽を撒き散らし
飛び立つチャンスを待っている

六月の、 ことこ


後ろ髪を引かれる
どうして
妹のように美しい髪でなかったのだろう
暮れていく陽の
もう少しだけ、を残した
闇が束ねる
手つきはやさしくて
頭をかしげる速度で
すべて委ねてしまいたくなる


ぽかりと浮かぶ満月は
ひるまのうちに含んだひかりを吐き出し
閉じられた夜の反射率を支える
行きかう人びとの顔は見えない
この町でさえも
はねかえる声はこだまして
まばゆい波紋を描き
その縁を
犬の遠吠えが沿ってゆく
秒針のような正しさなど、必要とされない
湿った鼻が
残り香を丁寧にかぎ分ける


ひたひたに注いだソーダ水の
水面へ昇るいきおいで
生まれては消えていく、
を繰り返す

        (まるで
         ながれぼしのようだね)

こどもたちは嬉しそうにほほえむ

        (ふたりだけのひみつだね)

、と
寄せ集めた紫陽花は庭で
今年もまた雨を手繰る


いつまでも
あたり前の顔をして待つ
ひと知れず
     ((わたしに知れず
根粒菌と手をつなぐ
約束、だけを守っていた
生まれたからには
自由でなければ
、と
/自由でなければ
/生まれてはならない
/、と
(束縛されて)
裸足で土を踏みしめれば
どこまでも透明な闇が広がる

悲しい魔法をかけないで えりぃ


22時雨が街を刺す
あなたが好きな
曲を口ずさみ
そっと車を走らせる

信号が赤に染まってく
となりの座席
温もりを失い
さっと影を落としてく

離れた途端
寂しさ込み上げるのは
贅沢な悩み

さよならは
あなたを思い出に
変えてしまう魔法
キスをして幕が閉じる

23時車が走る
会えない日々は
携帯握りながら
じっと耳を澄ましてる

電話切って
静けさ取り戻したら
現実が戻る

おやすみは
あなたを夢へと
導いてく魔法
キスをして目を閉じる

悲しい魔法をかけないで
あたしは
咽び泣く事しか
知らないのだから

詩人は微かに笑うだろう ノいキ









言葉とは なんとも難しいモノだ




盾にも剣にも成り
聖にも邪にも成りえ


或いは 生すらも
揺るがしてしまうのだから





嗚呼

だが、不思議なことに
私は

こんなにも 言葉というモノに
惹かれているのだよ










END.